ノート:クロスビー『史上最悪のインフルエンザ―忘れられたパンデミック』
史上最悪のインフルエンザ-忘れられたパンデミック 新装版 付「パンデミック・インフルエンザ研究の進歩と新たな憂い」
- 作者:アルフレッド・W・クロスビー
- 発売日: 2009/01/08
- メディア: 単行本
1976原著 2004西村秀一訳みすず書房刊
少なく見積もっても2500万人以上の死者を出したといわれる、1918-1919年のインフルエンザ(通称「スペインかぜ」)。本書は社会・政治・医学史にまたがる史上最大規模の疫禍の全貌を明らかにした、感染症学・疫病史研究の必読書。
(目次)
日本語版への序文
新版(1989年刊)への序文 *比喩の力:ペスト・癌エイズ・かぜ、感染力と致死率
第一部 スパニッシュ・インフルエンザ序論
第一章 大いなる影
キャンプ・デーヴンス/医療部隊の大敗北
第二部 スパニッシュ・インフルエンザ第一波―1918年春・夏
第二章 インフルエンザウイルスの進撃
戦時下、ひそかに迫る危機/ヨーロッパでの流行―軍隊、そして一般市民へ/流行第二波への助走
第三章 3か所 時感染爆発―アフリカ、ヨーロッパ、そしてアメリカ
第三部 第二波および第三波
第四章 注目しはじめたアメリカ
騒然とした世相の中、看過された流行/脅威の顕在化/組織的対策の始まり
第五章 スパニッシュ・インフルエンザ、合衆国全土を席巻
運び屋となった兵士たち /流行、国土全域へ8/都市問題と流行の絡み合いぬ
第六章 フィラデルフィア
嵐の前の静けさ/戦争と流行が織りなす狂気模様/公共サービスの混乱/市民 の積極的協力と組織化/追いつかない埋葬/流行の収束と閉鎖命令の解除/統計
第七章 サンフランシスコ
パンデミック、戦争に沸くシスコへ/ハスラーと市保険委員会/サンフランシスコ の闘い/ワクチンとマスク/マスク着用条令/マスク着用解除と再流行/反マスク同盟/「死の臭いのする喜劇」の幕引き/アメリカの都市社会とパンデミックについての一考察
第八章 洋上のインフルエンザ―フランス航路
船員とインフルエンザ/兵員輸送船/リヴァイアサン号/ウォーレス二等兵の場合/ふたたびリヴァイアサン号の地獄/上陸後も続く試練/海葬/工夫と改善/統計
第九章 ヨーロッパ遠征軍とインフルエンザ
ロシア進駐陸軍第三三九歩兵部隊/スパニッシュ・インフルエンザ、北ロシアへ/西部戦線とフランス駐留部隊/第八八師団での流行り/前線を挟んで/戦場のパンデミック/ホールデン少尉の場合
第十章 パリ講和会議とインフルエンザ
ウッドロウ・ウィルソン/民主党の敗北/アメリカ和平交渉使節団と大統領補佐官ハウス/ハウスの病/冬のパリ、流行第三波/会議の行く手に広がる影/四巨頭会談/対立の激化とウィルソンの発病/ウィルソンの敗北/ウィルソンの異変について
第四部 測定、研究、結論、そして混乱
第十一章 統計、定義、憶測
パンデミックを測る/悪性化の謎/ショープの説とグッドパスチャーらの所見/免疫学者バーネットの考察/いまだに謎は残るぬ/付録(死亡統計)
第十二章 サモアとアラスカ
環境、それとも遺伝? *イタリア移民の集合習慣、アメリカ先住民の脆弱さ、黒人の強さ/太平洋の島々とスパニッシュ・インフルエンザ/サモア/西サモアとアメリカン・サモア/アラスカ/勝敗の分かれ目/リーダーシップについて/州知事リッグスの奮闘/第三波終息―忘れられたアラスカ
第十三章 研究、フラストレーション、ウイルスの分離
原因究明の試み/病原体の第一候補、ファイファー桿菌/ファイファー桿菌説の限界/第二、第三の候補/ろ過性微生物説の登場/イヌ・ジステンパー研究/WS株の分離、そしてウイルス説の確立へ
第十四章 1918年のインフルエンザのゆくえ
動物のインフルエンザ/コーエン、ショープのブタ・インフルエンザ研究/ショー プの仮説とその今日的意義/血中抗体の意味するもの/1951年アラスカ、テラ ー・ミッション
第五部 結び
第十五章 人の記憶というもの―その奇妙さについて
忘れられたパンデミック/文献の中のスパニッシュ・インフルエンザ/トマス・ウ ルフとキャサリン・アン・ポーター/忘却の理由 *コレラのような高い致死率ではない/忘れられないパンデミック *個人の思い出に残っても社会集団には無影響
訳注
訳者あとがき
参考文献
索引
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4月10日(金)午後9:05放送「100年前の感染症から学ぶこと」から
著名な死者:
マックス・ヴェーバー(1864-1920)56歳 社会学者、「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」他
ギヨーム・アポリネール(1880-1918)38歳 フランスの詩人、小説家
エドモン・ロスタン(1868-1918)50歳 劇作家、『シラノ・ド・ベルジュラック』他
グスタフ・クリムト(1862-1918)55歳 画家
エゴン・シーレ(1890-1918)28歳 画家
辰野金吾(1854-1919)64歳 建築家、「日本銀行本店」他