ノート:『パース/ジェイムズ/デューイ』プラグマティズム・中公世界の名著
世界の名著 59 パース・ジェイムズ・デューイ (中公バックス)
- 作者: パース,ジェイムズ,デューイ,上山春平
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 1980/10
- メディア: 単行本
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解説 上山春平「プラグマティズムの哲学」
本書編集の視点
・現代哲学とは何か *ヘーゲル哲学の解体 19世紀産業革命による社会変化への対応(※大衆化) 西欧:マルクス主義、実存主義、分析哲学 米:プラグマティズム
・プラグマティズムの3つの顔 *マルクス主義・社会性/政治性・デューイ、実存主義・主体性/宗教性・ジェイムズ、分析哲学・論理性/科学性・パース 実存主義・キリスト教/伝統的価値観の崩壊・過去、分析哲学・伝統社会を破壊する科学構造の解明・未来、マルクス主義・社会と思想の転換変革過程・現在 実存主義:パトス、分析哲学:ロゴス、個人・精神 マルクス主義:社会・物質(経済) 本能を核とする主体的要求、環境の客観的認識、主体に対する社会的制約 不可欠相補的な3契機
・3人の思想家に対する関心のあり方 *デューイ>ジェイムズ>パース
・本書の構成 *パース中心に
プラグマティズムの成立と展開
*商工業の中心地ニューイングランド
・プラグマティズムの前史 *土着性 ピューリタニズムの世俗化、ヤンキーズムとの闘争 18C初アルミニウス神学とJ.エドワーズ 19Cユニテリアン神学とエマソンのロマン主義 宗教的な生活信条と技術的思考様式の相克調整運動 宗教と科学の相補的把握 マルクス主義は宗教否定、実存主義は科学否定 ベルクソンら仏新唯心論の物質的かつ精神的な概念「習慣」の採用
・プラグマティズム運動の発足 *1898年カリフォルニア大講演でジェイムズがパースの「プラグマティズム」提唱
・運動の母体 *パースのプラグマティズム論文発表(1878年) ハーバード大OBたちの「形而上学クラブ」
・ジェイムズからデューイへ *ジェイムズ:98年「プラグマティズム」講演〜1907年『プラグマティズム』〜1910年死去 デューイ:20歳若年、ヴァーモント州立大学、バーリントン食料品店家庭 最高のインテリから辺境的庶民的環境へ、普遍化
・道具主義の成立 *1890年のジェイムズ『心理学原理』にデューイは最大唯一の影響を受く ヘーゲル主義的立場から道具主義的立場へ
・デューイとジェイムズの対面 アディロンダック山系ハリケーン山麓避暑地で1900年頃
・運動の盛衰 *1930年代、大恐慌とナチズム抬頭 マルクス主義助長、亡命ユダヤ人の論理実証主義隆盛 微温的なプラグマティズム消沈
三人の思想家の関係
・1903年の講演 *ハーバード大連続講演、韜晦 3連続論文
・パースとジェイムズの葛藤 *パースのジェイムズへの対抗心 ハーバード大哲学科主任教授と測量技師・田舎の不遇老著述家
・両者の微妙な関係 *1902年回覧草稿でジェイムズを侮蔑
・運動へのパースの訣別 *1905年論文で、現プラグマティズムと一線を画し「プラグマティシズム」を宣言
・パースとデューイの関係 *1930年代、パースルネサンス 38年『論理学―探究の理論』 J.ホプキンス大学院時代、デューイはヘーゲル主義者J.S.モリスの強い影響下 パースは論理学を規範科学(カント)とし、デューイは記述科学(ヘーゲル)とする
プラグマティズムの哲学
*プラクティカルとプラグマティック
・プラグマティズムとカント哲学 *プラクティッシュ:実践的/ プラグマティッシュ:実用的・経験的 ⇄ モラリッシュ:道徳的・先験的 プラクティッシュ〜モラリッシュ
・「プラグマティズムの格率」の理論的前提 *1878年論文 デカルト以来の先天的方法から科学の方法へ 推論の論理学、精神の習慣、指導原理、疑念から信念の確立 固執の方法(個人主観)・権威の方法(社会集団)・先天的方法(思弁的普遍性)・科学の方法(経験的客観性)
・実在論的立場と唯名論的立場の対立 *普遍的な習慣と個別的な知覚 実在論と唯名論 思考・概念→行動 わたしたちの経験、社会性・コミュニティ主義、アガペ主義 19世紀的個人主義、J.S.ミルの唯名論と功利主義を批判 ジェイムズは『プラグマティズム』をミルに捧げ、プラグマティズムを唯名論や功利主義に一致するものとする
三人の思想家との出会い
*プラグマティズムは哲学の衰退か勃興か論争(1905年)
・ジェイムズと西田幾多郎 *1906年西田幾多郎が関心、08年『善の研究』第一篇発表 ジェイムズの多即一、知覚の流れ、徹底的経験論 ベルクソンの純粋持続 西田の純粋経験
・ジェイムズ哲学の宗教性 *西田幾多郎、ベルクソン、ジェイムズ 経験の宗教性
・ジェイムズとの出会い *西田幾多郎『善の研究』 ドストエフスキーとカント ジェイムズにおける宗教と科学の両立
・パースとの出会い *鶴見俊輔『アメリカ哲学』を通じてパース論文集に カテゴリー論への関心 カント『純粋理性批判』、パースに仰天
・パースとカント *20歳頃のパースの、カントのカテゴリー論研究 前提としての形式論理学研究
・パースのカテゴリー論 *カントのカテゴリー論の狭さ 前提の形式論理学の狭さを克服 古代中世論理学史の再検討、ブールら数学的論理学の研究 1867年、5論文化
・歴史の波動モデル *自分のカテゴリー体系構築 大学は西田学派の歴史哲学の時代 海軍での人間魚雷の回転電磁石体験 カテゴリー体系と時代精神 神・永遠と歴史の波動 1000年周期説
・パースの500年周期説 *パースに再び仰天 歴史の500年周期説 内的な必然的進化の場合
・波動モデルの位置づけ *偶然的進化(ダーウィン)、必然的進化(内的・ヘーゲル/外的)、創造愛的進化(習慣、ラマルク)
・デューイとの出会い *パースの科学的探求の論理(仮設・演繹・帰納)をデューイが継承 弁証法的論理学
・デューイとパース *ジョンズ・ホプキンス大での接近と隔絶 1890年ごろ、パースはヘーゲル再評価、デューイはヘーゲル主義脱却 探求プロセスの論理学的研究での近接
プラグマティズムの評価
*プラグマティズムの3つの顔を明示する デューイの論理学 ジェイムズの「実存主義」、フロイトの無意識 パースとデューイの論理学の弁証法的性格(システム論)
本書の読み方
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不可欠相補的な3契機
※それぞれ研究するに値する、唯一絶対の真理と考えないこと
実存主義・主体性/宗教性・ジェイムズ 分析哲学・論理性/科学性・パース マルクス主義・社会性/政治性・デューイ
実存主義・キリスト教/伝統的価値観の崩壊・過去 分析哲学・伝統社会を破壊する科学構造の解明・未来 マルクス主義・社会と思想の転換変革過程・現在
実存主義:パトス、分析哲学:ロゴス、個人・精神/マルクス主義:社会・物質(経済)
本能を核とする主体的要求、環境の客観的認識、主体に対する社会的制約
近代日本の倫理性 「実存主義」契機の強さ
宗教性、合一を求める 西田哲学
マルクス主義というより社会救済、慈善
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パース「論文集」
I 現代論理学の課題 1877
第一章 探究の方法
一 科学史の素描
*論理学の研究、推論技術の発達の歴史 スコラ哲学者 ロジャー・ベーコン *経験 フランシス・ベーコン *不十分 ケプラー *仮説 ラヴォアジエ *実験 ダーウィン *統計的方法
二 論理学の研究対象
推論 *価値ではなく事実が問題 人類は論理的だが楽天的 自然淘汰は実際的問題には論理的有効だが、そうでないものには誤っているかもしれない(※好悪、快) 推論の指導原理 *推論を行う精神の習慣 真偽判定の指導原理 精神状態の推移 自明な概念に潜む形而上学(例:色) 疑念と信念 *両者の区別 習慣、行動 探究 *疑念から 絶対ではなく現実から始めればよい(プロセス)
三 探究の方法
固執の方法(個人主観)*不決断な精神状態を本能的に嫌い、疑念を抱くことへの漠然たる恐怖、旧式の見方にしがみつく 権威の方法(社会集団)*教会、ギルド、国家 先天的方法(思弁的普遍性)*芸術的?(好み次第) 形而上学の歴史(プラトン、デカルト、カント、ヘーゲル) 理性に適うかどうか、経験や事実ではなく 普遍的な性質をもった好み 科学の方法(経験的客観性)*霊感のような内的な経験ではなく外的なもの、誰がしても同じ結論 実在という概念 4つの方法の比較 *3つの方法の存在理由 外部排除、異端弾圧、自由思考(形而上学者は真理に到達する) 長所 先天的方法:気持ちがよい結論 権威の方法:道徳的なテロリズムによる思想統一、平和の道、すべては語れない 固執の方法:決断力に秀でる いずれも思想を事実にしようとしている 思想と事実の一致は科学の方法だけ 論理的良心、何かを失うことでもあるが どの花嫁を選ぶか
※※「科学の方法」さえ絶対視しない、決めつけない。他の長所を取り上げ、目的に応じた使い道を提示。公平さ? 道具的観点。
第二章 概念を明晰にする方法
一 「明晰」と「判明」
一般論理学書の説 *「明晰」(明白さ、なじみ)も「判明」(正確な定義)も言語明瞭意味不明 デカルトの説 *権威から先天的方法へ 自己意識、理性、概念の明晰さ 思考と事実の違いを認識せず、内観を信用 対立意見から明晰な概念も判明である必要、推論による検討テスト、討論の必要 ライプニッツの説 *非生産的な知識論、※ライプニッツは世界を変革するのではなく説明しようとする デカルトの事実からの出発を取りそこねる 矛盾律と充足理由律の論理学 「明晰」と「判明」の区別 明晰な理解=判明さ
二 プラグマティズムの方法
概念を明晰にすることは論理学の第一歩である *少なくも明晰な概念か、多くの不明な概念か 思考の唯一の機能は信念の形成にある *疑念から信念へ、問いから解決へ 音とメロディ 感覚と思考 思考は継起、メロディと同じモティーフやテーマ 信念の形成とは習慣の確立にほかならない *信念:暗黙知、疑念の終点(ただし同時に次への出発点、一時休止)、習慣の確立 同じこと(行動や事実)を違うもの(概念、思考)だということはおかしい 主観的な錯誤 聖餐式の2つの意味、ぶどう酒は血か プラグマティズムの格率 三 プラグマティズムの方法の適用例
「硬い」という概念 *相対的な問題 事実の配列の仕方 自由意志と宿命論 仮定、条件文の問題 「重さ」という概念 *重力の言い換え 「力」という概念 *力の効果は運動の変化 始点終点が同一の2つの道、力の平行四辺形、加速度の和 同じことを別のことだと言う、あるいは別のことを意味するかもしれないと考える、積極的概念と消極的概念という空虚な区別 「実在」という概念 *実在と虚構(想像) 実在性(夢を見たこと)と(夢の)内容の真偽は別のこと 固執、権威、先天的方法とも議論は闘争(自分がどう考えるか、納得できるか) 科学の方法で初めて協働作業に(自分がどう考えるか、納得できるかとは無関係) 人類の未知や不在での存在の実在性、科学はいつか到達する、ことばの配列(仮定、条件文の問題)
II 記号論の哲学的基礎 1868
第三章 直観主義の批判
一 推理による方法
第一の問い:対象を認識する場合、その認識は以前の認識の限定を受けるのか、それとも対象と直接関わるのか、を正しく判定する能力、それも、何の予備知識も持たず、記号を使って推理することもなく、漫然と思いを巡らすだけで、判定できる能力は、私たちは備えているだろうか? *直観・知覚と想像・思考の区別の至難さ(人は見たままを語れるか) 言語能力の習得、空間認識(盲点の自覚のなさ)はすでに「推論」している 音の高低や平面も単独の直観では認識できない 人物認識の推論・判断の理由を説明できないが、できている・用は足せているプラグマティズム 持続を瞬間の中に感じ取れない、時間の概念
二 自己認識の正体
第二の問い:私たちは直観的な(直接的に、メタ意識・認識を介さずに)自己意識を持つことができるか? 自意識はどう認識されるか 幼児に自己意識はない 自分の無知や誤りが自己の存在を推論させる デカルトの直観的説明は不可能 第三の問い:私たちは異種の認識の主観的要素間の相違を直観的に区別する能力を持っているか? 認識客観ノエマと認識主観ノエシス 見ると想像、思考、信念を区別できるか 無限背進 感覚と想像は区別できるが、それは直観的なものではない 信念と確信の区別も別意識、メタ意識による
三 行動主義と記号主義
第四の問い:私たちは内観の能力を持っているか、それとも私たちの内部世界に関する知識はすべて精神外の事実の観察から導き出されるのだろうか? *色、情動、美、善悪 外的刺激 意志は抽象能力 第五の問い:私たちは記号を使わずに考えることができるか? *記号と思考、アキレスと亀、アキレスは追いつく(時間) 直観には思考が忍び込んでいる 記号は思考を限定する 瞬間的な思考はない 第六の問い:ある記号が「絶対に認識不可能なもの」の記号であるとすれば、そういった記号は意味を持つと言えるか? 認識不可能のものは言語矛盾で存在しない 人間に認識されうるものは原理的にいつかは認識される
四 直観能力の否認
第七の問い:以前の認識によって限定されない認識が存在するか? *以前の認識を無限遡及すれば無限小に至る、アキレスと亀と同じ(究極はない) 認識もまた他の変化と同様に瞬間的にではなく過程的に生じる 遡行し最初の認識を探せるか 無限小となる、アキレスと亀と同じ 認識もまた他の変化と同様に瞬間的にではなく、過程的に生じる
第四章 人間記号論の試み
一 デカルト主義の批判
*完全な懐疑は自己欺瞞(※本物の哲学者の証明!)、偏見から出発せざるを得ない 形而上学者の確実性は一致しない、科学のように哲学者集団での一致をめざせ 明確な前提と議論の多様性に信頼を 非観念論(=唯物論?)は説明不可能なものを想定 ※観念論は人間(意識)の側から世界を、唯物論はそうではない(人間が属さない、不可知的)側から世界を捉えようとすること?、カントの物自体とも違う
二 すべての精神作用は推論である
*私たちが内観の能力を持たないのなら、デカルト的出発点は捨てて、新たな出発点を立てなければならない 単独、瞬間的、最初の認識(直観)はなく、連続的な過程、推論の過程と考える 三段論法、完全な推論(単純なもの/複雑なもの)/不完全な推論、必然的・演繹的な三段論法/確からしい・蓋然的な三段論法 演繹 *実例 必然的・演繹的な推論、演算 蓋然的な推論、療法、知識欠如、帰納/推定 帰納 推定 *推論は演繹的・機能的・推定的のいずれか 帰納は小集合の性質が大集合でも真であるとの想定の推論、統計的推論、大前提を導き出す推論(逆算)、多様を統一へともたらす操作 推定は小前提(前件←後件)を導き出す推論(逆算)、類似性?、多様を統一へともたらす操作 主語(ソクラテス)・述語(死ぬ)・媒概念(人間) 精神作用を正しい推論形式に、単一の型に還元可能 虚偽論 *推論法と結論の正誤は別、誤った前提でも正しい推論はある 心理的な判定基準(印象)では誤りでも推論手続きは正しい
三 すべての思考は記号と見なされる
*意識の表象が外部の表象なら、人間は記号である 記号のもつ3つの関係 *思考、対象、材質 思考は連続的過程にあり、先行する思考は後続する思考に語りかける 記号となった思考はその中で解釈される 思考の指示対象は何か、先行の思考 思考記号の材質も先行思考 記号のもつ3つの特性 *1記号は事物とは違う素材的な性質・材質がある 2実在的物理的な結合性、純粋の指示作用 3表示作用 瞬間的で説明不可能な直接経験、単独では意味を持たず人生の連続的な意識の流れの中で意味を持つ 感覚は推定的推論である *感覚は単純な述語で、推定的推論の役割 表示作用の素材 情動も単純な述語で、推定的推論 形而上学的概念 注意は帰納的推論である *強調する働き、前後の思考を結びつける力、純粋の指示作用 帰納、枚挙による推論 唯名論者たちの誤り *バークリー、ヒューム 心像は個体的か 観念の連合も推論である *概念は判断での中にあり、単独では存在できない 観念の連合(3つの法則:類似、接近、因果)は判断の連合
四 人間を記号と見なすことが可能である
*反デカルト主義、観念論(事物の認識は不可能) 実在論の正当さ *実在とは認識できること スコラ哲学、オッカムとスコトゥス 精神と事物 集団性と未来性 *人間が使うことば・記号は人間そのもの ※人間とはことば(記号)であり社会(他者、現在・過去・未来) 人間は言語であり、思考にほかならない ※ラカン 意味は社会の中にあり、実在性は社会集団の決定に依存する いかなる思考も後続の思考、未来の思考に依存している 孤立した人間(それでも社会の中でしか生きられない個人) ※パース、ロビンソン・クルーソー
III 歴史哲学の構想 1893
第五章 精神の法則
一 精神の法則の定式
精神の法則とは何か *連続的で他の観念に影響を及ぼす 観念の個性 *過去の観念は過ぎ去る? 接近と類似 観念の連続 *過去の観念は代理ではなく直接的 積分的過去、無限小の間隔(時間) 時間の分析 *精神の時間は一方向 過去は現在に、現在は未来に影響を及ぼす 感覚の内包的連続性 *時間には連続性があり、変化の普遍的な形式 感覚は精神の発展に反比例して衰退、かつては感覚の次元は無限 発展とは可能性の限定を意味する あらゆる感覚の無限小の連続体の現存 感覚の空間的な拡がり *アメーバと神経細胞の感覚 主観的実在的な空間的拡がり 観念の影響 *観念の3要素:感覚、エネルギー、他の観念の随伴 最後の要素が増大し、普遍的な観念が生まれる それは生きている感覚であり、実在論の証明であり、未来が過去の暗示によって影響されることを示す 観念の結合 *観念の連続的拡大の法則 普遍的な観念になる傾向 精神の法則は論理形式 *演繹、刺激を受けての反応 帰納、習慣に 仮説、熟練の過程 精神活動の不確定性 *不確定性は精神の本質 疲労の法則? 法則の再定式 *観念の実在論 感覚の連続体、普遍的観念 生き生きとした観念 観念が相互に影響
二 定式の適用
パーソナリティ *二重人格 パーソナリティは観念の結合、目的論的調和、発展的な目的論、将来の行動の決定因 宗教哲学、進化主義的哲学は人格神の観念と不可分 コミュニケーション *物質にも生命は潜んでいる 精神の法則は物理化学法則とは異なる 自然との第1次感覚がどのように刺激されるかは不明 他者パーソナリティの認識 連続主義の哲学では人格神を疑うことはできない 私たちの面前にあり明々白々の事実も決して容易く認識される事実ではない(※ウィトゲンシュタイン)
三 結論
*連続主義の哲学 論理的実在主義、客観的観念論、進化主義的偶然主義
第六章 進化の三様式
一 福音と反福音
愛による進化 *古代ギリシアのエロス 福音書のヨハネ「神は愛である」 憎しみや悪は愛や善の欠如 被造物の愛(自己愛)と創造的愛 黄金率、(最大多数ではなく)隣人の完成(我欲の満足ではない)を優先させよ(※菩薩心) 成長は愛からのみ生じる 宇宙は精神であり生命を持ち進化する 貪欲による進化 *19世紀は経済の世紀 貪欲の知性は価格・契約・交渉を通じて最高善である食物(グルメ)と娯楽に導く ※現在も同じ 貪欲(我欲、利己心)の有効性と優しさ(センティメンタリズム)の否定(冷酷さ、フランス革命の影響) マンデヴィル『蜜蜂の寓話』自由主義経済による最大多数の最大幸福 ダーウィン進化論の個人主義、生存競争 著者の立場 *イエス・キリストの隣人愛 貪欲の福音への反対、アガペ主義の告白
二 進化の三様式の相互関係
偶然的進化 *進化理論の論理的な親近性 ダーウィンの自然淘汰 偶然が秩序を生ぜしめる ケトレの統計学、バックルの文明史、マクスウェルやヘルムホルツの力学 ミルらの偽科学、功利主義、個人主義、唯名論 必然的進化 *事実は機械的必然性を示さない 習慣による進化 *ラマルク的進化、習慣の力による進化 精神のラマルク的進化、練習による成長、分子的現象の過程と似る 進化の三様式 *偶然的進化、必然的進化、創造愛的進化 前二者は退化した、欠落のある進化 創造愛的進化は感応的 ヘーゲル哲学は必然的進化にとどまる
三 進化の三様式の区別
思想発展の三様式 *人類の思想の歴史的発展との関係 偶然的発展、環境や論理からの離脱 必然的発展、環境や論理 創造愛的発展、感応 預言者的、使徒・聖人的、天才的 思想の偶然的進化 *実例:中世暗黒時代のキリスト教、黙示録の復讐のことば、普遍愛から党派根性へ、フランス革命 思想の必然的進化 *外的と内的 外的の実例 スコラ哲学と十字軍・アリストテレス著作の発見 内的の実例 ヘーゲルの論理学 個人の時間周期は33年、世代 西欧史では500年 思想の創造愛的進化 *精神の法則、思想の連続性 時代精神、民族精神 観念の崇高さ ゴシック建築 19世紀の偉大な発見が独立かつ同時並行でなされた 金儲けと博愛主義
IV プラグマティズムの諸問題 1905-6
第七章 プラグマティズムとは何か *入門的
一 実験家たちは確言をどのように扱うか
二 哲学用語について
三 プラグマティシズム
四 プラグマティシズムとヘーゲルの絶対的観念論
第八章 プラグマティシズムの問題点
一 若干の確実と思われる常識が存在する
*批判的常識主義 ※ウィトゲンシュタイン 第一の特性 *疑い得ない常識的命題および疑い得ない常識的推論が存在する(反デカルト的な主張) 第二の特性 *疑い得ない常識的命題は大昔から現在に至るまでほとんど変化していない 第三の特性 *原始的な信念とは結局本能のことに他ならない
二 確実と思われる常識も批判の必要がある
第四の特性 *批判や疑いの余地のないと考えられている常識も、実は曖昧なものだ 第五の特性 *本当の懐疑なら十分高く評価すべきである 第六の特性 *自己自身に対して批判的でなければならない
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(パース)
第3世界
知識 人間社会のもの、つまりこれが社会か デマやうわさも含めて
パースとポパー
プロセス主義、現在の問題から始める
百科全書的学者 トータルな世界像、宇宙像を構想 新しい形而上学
時代はすでに専門化していた そういう意味でもユニーク
先天的説明
私たちは合理主義者 納得できる説明を絶えず求める
私たちは賢い
断片的な直観・知覚・認識を収集、比較、合成し、ほとんど瞬間的に推理、判断している
精神世界(内観・個人主観を含めて)
社会、世界3だと考えれば、物質的基礎(身体含む)の上に行動のための精神が成り立つ 幽霊的、霊魂でなくてよい 実在(概念)と存在(感覚的現実)は違う
未知の世界
人間に認識される限りいつかは理解される
連続の哲学
積分の哲学 境界の曖昧さ、連続性 プロセス ソシュール等の2(分断)に対して3(非分断・連続性、ヘーゲル等)
□パースとは誰か
多面体
連続主義・偶然主義・アガペ主義 プロセス主義、積分の哲学
環境
19世紀北米 東部海岸地帯 プロテスタンティズム ホーソーン『緋文字』 冷遇
淵源、近似
論理学・プラグマティズム 科学主義 発見の論理 科学哲学 論理実証主義
ポパー 客観的知識論・世界3 反証主義 可謬主義 新たなカント哲学
日常言語学派 ウィトゲンシュタイン 存在、日常の神秘 ハイデガー
テイヤール・ド・シャルダン オメガ点 創造愛的進化
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ジェイムズ「哲学の根本問題」(諸問題) 1911
I 序論
第1章 哲学とは何か
哲学の役割 *全体知/哲学否定論への反論 *批判1:科学と違い、進捗しない 否、科学は哲学の枝(全体知の一部) デカルトも百科全書哲学者(※ルネサンスまで万能学の時代)what ロックとカントが認識問題(how)を哲学とし専門学化 人間の思考法、その発展、コント ガリレオ、デカルト、万能哲学者、数学的方法の生産性、法則、実証的哲学の科学としての分離 未解決、意見不一致の問題群の集合名称 数理哲学だけでは解決できない問題がある アリストテレスやデカルトが現代に復活すれば、科学ではなく技術進歩に驚き、認識論哲学にはとまどうだろう ※ジェイムズの学識の広さと深さ 批判2:哲学はドグマ的 諾、学説の完全性、無謬性を主張 対する科学は実験と観察による検証、無限の自己修正 批判3:哲学は非実際的観念論的、机上の空論 一般の嘲笑、毒舌家の皮肉 諾/結論 *哲学は古くは全体知(※ベーコンの知識の木)、現在は形而上学 科学・形而上学・宗教
第2章 形而上学の諸問題
形而上学的問題 *たとえ間違っているとしても形而上学的問題はある/形而上学の2つのタイプ *唯理論(観念論)と経験論
II 哲学の根本問題
第3章 存在
存在論的問題 *この世界はなぜあるのか ショーペンハウアー、存在への驚異は存在の不幸、宿命に変貌する ※是にも非にも受け取り可能 存在と無の間は始原も終点も見つからない無限背進/解決の試み *パルメニデス、存在は変化しない 唯理論者と経験論者 合理的にか経験的にか 神の存在証明 存在保存の法則(現象の消長とは別) 存在の出現プロセス(一挙に、少しずつ)、論理的な謎 どこから、なぜ? まず「何であるか」
第4章 知覚と概念(1)
知覚と概念の相違と関係 *感覚と思考 生物的には環境適応のために身につけたもの 知覚は連続的、概念は不連続的 知覚の流れは無意味(多即一、視界のように境界不明、百花繚乱の混乱だが無矛盾)、概念の中で分節化され意味(全社会文化、人間的世界)を持つ 両方が必要 ※内容と形式/唯理論者の見解 *古代ギリシア哲学 概念は不変、高尚、重視 知覚は変化、卑小、軽視 イデア的概念の非経験性(経験論者は経験の複合化) 先験的科学、ただし自己充足的、非実際的/プラグマティズムの規則 *概念を環境適用に活用する 概念の実体的内容(イメージを含む)と指示的機能 プラグマティズムの規則、経験・行為の結果から概念をテストする 哲学がことばの使い方の問題か/概念の機能 *概念は知覚・感覚の活用のため、受動と能動 アリストテレスの目的因と科学の動力因/概念の体系 *概念世界の広がり、静的秩序、観念的構成物/結論 *概念は地図、価値、客観的知識世界(※世界3) 知覚は現在、概念は未来や過去に関わる ※ミクロとマクロ、微分と積分
第5章 知覚と概念(2)
主知主義者の信条 *プラトン主義者、認識での知覚より概念の重視、デカルト プルタークによるプラトン/主知主義批判 *概念はあくまで翻訳、役立つ地図だが表面的で虚偽 現在の事実を知るのは知覚の流れでのみ、置換不可能 1概念は二次構成物、2知覚の流れを歪曲 動的関係を静的関係へ置換、連続的な流れを非連続的な要素へ変換 変化という概念の自己矛盾、定義という硬直化 主知主義、運動は静止の無限の寄せ集めか 主知主義者カント、概念化できない実在を物自体と逃避 バラバラの概念による哲学的難問紹介 1静止・非連続の関係だから因果が説明不可能、カントやヒュームは因果を並列化 2認識の不可能性、対象と主観は互いに超越的 3人格の不可能性、自我 4運動や変化 5類似の定義 6方向感覚 7一実在に対する二つの関係 8関係 9主語と述語の関係/ブラッドリーとベルクソン *矛盾統合の試み、ピュロン懐疑派(判断中止)、ヘーゲル、ブラッドリー、ベルクソン ブラッドリーは概念が知覚劣ることを認めつつ、概念的遠近法の消滅点の彼方に絶対実在を想定 ベルクソンは実在を知覚的なまま哲学に取り入れた/結論 *実在とシンボル
第6章 知覚と概念(3)
知覚と新しさ *経験論 部分から全体へ、部分が基本、部分は知覚 知覚は個別的、変化、新しさ 唯理論に新しさはない 実在は絶えず変化し新しい 経験論は瞬間から瞬間へ実在の特異性を追跡、部分知に留まる 知覚の流れの内に留まり、法則を定式化せず、事実を記録する 日常世界とつながる哲学 哲学が科学と同一である証明へ/概念の実在性 *実在はプラグマティズム規則で判断すべき、知覚も概念も実在的 数理科学と歴史文化学、概念と知覚 概念は自己同一性、トートロジー 唯名論者ジェイムズ・ミルによる批判、同じ白色はない、この主張に有用な意味はあるか、無限背進 唯名論は知覚の流れでは正しくとも概念活用では誤り 実念論、論理的実在論/知覚と概念の相補性 *経験・行為の普遍と特殊は交互浸透、理解の前景と後景 知性と感性、概念と知覚、因果作用も両者の合成 ※インプットとアウトプットの相補性、交互性 唯理論者の反論、知覚も概念に基づく自己矛盾
第7章 一と多(1)
多元論と一元論 *全体は要素、部分から成ると考える経験論は多元論(反一元論という消極的なものも含む) まず全体があると考える唯理論は一元論/一元論と神秘主義 *一元論は神秘的 プロティノス、バラモン教 説明不可能、苦業、哲学的ではない/実体の概念 *単一性、本質 神と被造物 宇宙は多元論 スピノザの単一説=汎神論 ロックの人格的実体概念の批判 バークリーの物質的実体概念の批判 ヒュームの実体概念の批判(ことばにすぎない) カントのカテゴリとしての実体?/単一性のプラグマティックな分析 *単一性は実体同様にことばにすぎないのでは プラグマティックに考えれば原因と結果の取り違え、論点先取 不変の原子や単子(ライプニッツ)、オリジナリティの問題/結論 *世界はある観点で一、別の観点では多
第8章 一と多(2)
一元論の立場 *世界を合理的に説明、だが非合理的=神秘的、宗教との親和性 絶対実在観念論、多即一、知的一元論 難問:1絶対精神ではないわれわれの有限な精神を説明しない 2不完全や悪の存在(多元論なら問題なし) 3変化の世界と矛盾(絶対者の世界は不変、永遠) 4宿命論、可能性や自由はない必然の世界/多元論の立場 *自由意志 一元論は世界は善であるという楽天的信仰 多元論は改善論的、成否は努力次第 多元論は道徳的、一元論は信仰的な見解/一元論と多元論の評価 *多元論の長所:科学的、道徳的 一元論の長所:宗教と親和性、情緒的安定感/一元論と多元論のプラグマティックな差異 *一元論に欠如なし 多元論は不完全、未知、新しさ 真の新しさ、オリジナルはあるのか
第9章 新しさ
知覚と新しさ *知覚的経験に従えば常に新しく同一はあり得ない/合理的知性と新しさ *知性は新しさを認めない、現象的な錯覚 知性の論理は同一律 アトムの再配列 物理的自然は不変と認めやすいが、人間生活では同一還元は難しい 学者も新事実発見やオリジナルな仕事を誇る 概念・主知主義の破綻/新しさと無限 *新しさは無限を破る 無限数は存在しない 事実は非連続的に発生する
III 副次的問題
第10章 連続と無限(1)
非連続性と連続性 *数量は連続か非連続か 知覚では有限、非連続 概念世界では連続的、無限の分割可能性、無限の延長可能性/ゼノンのパラドックス *ピュタゴラスは有限数、多元論 一元論ゼノンの運動否定論 矢の運動は静止の総和 アキレスと亀 真の存在は完全、連続的 有限の多は偽りのもの/カントの二律背反 *実在は数えられる(有限)、無限は数え切れないもの 時空間は無限後退 すべてとそれぞれ・いくらか、無限と有限 両方を満たそうとする矛盾/ルヌヴィエの見解 *実在の有限性、多元論 一部無限も認めるが、事実は重なり合い概念的には説明できず自己矛盾を引き起こす 永遠的な仕方で演繹すべきではない
第11章 連続と無限(2)
静止的無限と発展的無限 *静止的:時空間、存在物 現実にすべては無用、少しずつ(いくらか、それぞれの)有限的にアプローチ 論理的な越境が論理的な難問を生む、論点先取、ヘーゲルの悪無限 発展的:運動、変化、活動 連続は概念的に無限分割が可能 非現実的、概念的順序に問題 ※時間の問題 ある終点から出発する論点先取、現実の未来ではない、現実に無限はない 有意味なのは小さな有限量、非連続的過程として扱うこと/新無限 *無限の集合論 部分集合と全体集合が同一というパラドックス、無限は発展する、無限分割 超限数オメガ(アキレスが亀に追いつく点の数、星の数、平行線の交点までの距離数…)/ラッセル批判 *アキレスと亀のパラドックス、ごまかした解決/結論 *常識的な経験論 実在は有限で非連続な歩みで変化する 知覚経験を概念的に翻訳すると、かえって理解しにくくなる ※存在とは何かの記述あり、だが内容理解できない
第12章 原因と結果(1)
考察の視点 *新しさの問題 結果は原因に基づくのなら、新しさはあり得ない/アリストテレスとスコラ哲学 *スコラ哲学は理路整然とした常識、世の常識を常に尊重 結果には原因あり(充足理由律) 結果はある仕方で原因のうちに存在していた、真に新たなものはない/機会因論とライプニッツ *デカルトの心身二元論、ライプニッツの予定調和、神が万物の唯一の原因/ヒュームとカント *ヒュームは経験に因果を見出せず、新たなものは生じないと結論(ヒュームも主知主義・概念主義で思考) 知覚では出来事はバラバラの混乱した姿、これを概念が整理抽象したものが因果(知覚のただ中に因果はない) カントもヒューム同様、常識を否定、因果を単なる時間継起に変形 画一性、斉一性/最近の理論 *演繹的説明、一元論的 実在は永遠の同一性の行列、発展も新しさもない 函数的世界
第13章 原因と結果(2)
因果性の知覚的経験 *知覚は因果について錯覚しやすい/因果性と活動状態 *精神活動の中での意識の流れ、因果、存在 個人活動では目的因と動力因が一体/因果の作因と大脳 *人間の欲望が世界の事物を作り出した 創造 大脳皮質 精神と脳髄、精神と身体/結論 *概念主義と知覚の流れ
補遺 信仰と信ずる権利 ※宗教論ではない
主知主義も要請とその批判 *主知・概念主義の2派、唯理論者と経験論者 世界は完成している(改善・改良の余地はない) 「信仰」(希望等)の禁止 証拠のないものは信じない規則 多元論的宇宙、協同的改善論的/蓋然性に基づく行為/多元論的宇宙 *定言的ではなく仮言的命題
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(ジェイムズ)
19世紀産業革命、科学技術革命
新しい社会、常識と科学の分裂、哲学と科学の分裂、科学と歴史文化の分裂
知覚と概念、感覚と知性の分裂
新カント学派、ウェーバー、現象学(生活世界) ニーチェ、ブルクハルト
不変・存在 実念論 合理論 一元論
変化・生成 唯名論 経験論 多元論
存在 知覚・感覚の世界(概念以前) 純粋経験
不変か変化か、保存か増減か アキレスと亀、パルメニデスの呪縛
神秘主義、禅
新しさは任意に無限分割できるから可能だ、が私の考え
時間の問題 方向性
知覚→概念 概念→知覚(現実)の逆走
原因→結果 結果→原因
自由・偶然→結果 結果→必然
ことば・言語の問題
知覚と概念 自然と文化 裸の存在 人間、存在者の問題
※名付け、名付ける前のもの 受け身・与えられ・与件、社会・他者の先行性
内容と形式、質量と形相
中庸、中道 常識主義 楽観的改善主義
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デューイ「論理学—探求の理論」1938
I 探究の基盤
第一章 論理学のテーマの問題
手近なテーマと究極のテーマ *論理とはなにか/私の立場 *探究の探究 ※ポパー、探究の中にこそ論理が探求できる 論理学と方法論は違う/探究と論理形式/探究と知識 *疑念→探究→信念・知識・保証つきの言明可能性(※仮説)/合理性 *理性や公理の自明性の崩壊/論理学の原理 *形式論理学と動的論理学 習慣、行為と結びつく/本章のまとめ/論理学は前進的な学問である *時代とともに、科学の進歩によって変化する/論理学のテーマは操作的に決められる *操作=働きかけ、手続き的、媒介的?/論理形式は前提である *条件の明示 探究の進展とともに前提も変化する/論理学は自然主義的な理論である *直観などはなし/論理学は社会的な学問である *言語、文化の社会性/論理学は自律的である *ア・プリオリの排除
第二章 探究の現実的な基盤―生物学的な側面
連続性 *発達や生長の連続性、断絶も同一の繰り返しもない/有機体と環境 *相互作用の分化とバランス、フィードバックシステム/相互作用の諸様式 *有機体により、状況により複雑化する/習慣 *刺激=反応関係は関数 単なる反応ではない ※思考も回路の一部/生命活動と探究 *常識からの出発、問題の渦中からのスタート ※伝統哲学はアキレスと亀のように動かない/探究の一般的性格 *生命活動が連続的な探究 心理学と論理学 デカルト的科学革命が物心分離し二元論(古代の曖昧な物心観崩壊)/「経験」の意味 *経験は客観的か主観的か 経験的と合理的 ロックの感覚還元論 私の論理学は自然科学のように経験的で実験的/誤謬性 *発展するがゆえに誤謬を認めるべき 本書は試論 特に生物学的観点(環境システム)
第三章 探究の現実的な基盤―文化的な側面
有機体の行動から知的な行動へ *意味、文化、言語の世界 ※世界3 観念・信念の個人性と社会性、個別と普遍、主観性と客観性/言語の役割 *概念 シンボルと意味、気まぐれな約束ごと/言語と意味 *特殊のことば、操作的な力、普遍・概念 言語と活動 単語と規則 体系の部分としての言語 ※ソシュール的でもあり、そうでもなかったり/記号とシンボル―意義と意味 *自然記号は「記号」、人工記号は「シンボル」と呼ぶ 意義と意味/3つの「関係」 *意味シンボル相互の関係、意味シンボルが存在に対して持つ指示の関係、推理可能となる事物相互の結合・包含の関係/論理学の誕生 *自然言語は文化言語となる 本能的な動物行動は人間的な文化行為となる 意味シンボルが過去を記録し期待を可能にする 伝統的論理学の欠点:テストなしで理性の実体化、非実践的観照的(形而上学)
第四章 常識と科学
常識的探究 *科学的探究との区別/常識とは *タブーを含めて/利用と享受 *常識は時代や社会によって変化する/常識と科学 *前者は質的、後者は量的に追求 認識論や形而上学での論点は常識と科学との領域間違いの問題か/全体としての状況 *つながりのある全体が状況 個々の対象と状況は違う 過程と結果 状況の中の感情や感覚 経験領域は議論領域の前提条件 ※メタ認識の問題、微積分認識、多層の系が重複・結合・分離する世界/性質 *このことばの使い方 第三性質、心情語/常識から科学へ *実際的な必要から/二元論の源泉 *職人や商人の技術と支配者層の高級技術/よみがえった科学 *熱・光・電気、レンズや羅針盤など新たな経験素材と技術 新しい常識と科学 対自然、社会へも/科学と常識のギャップ *混乱あるいは違いは社会的で論理的なものではない、質と量、目的因と動力因 言語の違い※ウィトゲンシュタイン 理性と経験、理論と実践を峻別する伝統的哲学(ハイデガー) 科学は目的を解放、ただし道徳分野は別物/統一の問題 *現代における常識と科学の分裂 進歩か回帰か 対象の違いであり論理の相違ではない 論理学も分裂、伝統的論理学と数学的記号論理学
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第五章 論理学に必要な改革
*アリストテレスの古代と現代の距離、背景常識や科学の違いが矛盾を生んでいる
アリストテレス論理学の検討 *紀元前5世紀ギリシアに適合/ギリシアの自然観 ※難解 *ピュシス、統合的な宇宙論・世界観 主観・客観の不分明(近代に逆転) 学問分野の連続性 ピュシス・自然・本性、永遠(不変)と変化(成長) 無から完全へと至る存在の序列・階級/変化 *変化しない存在と変化する非存在、完全と非完全 美学的/包摂と排除 *感覚と合理 特殊と普遍・種 定義は本質の形式/「種」の序列 *感覚的なものから星まで 素材と目的 生物の自立運動、生物の序列、不死の神/アリストテレス論理学の主要点 *知識の論理形式は定義と分類 未知の発見・発明の論理がない、既知の学習 ※変化を知ることは学問ではない、変化しないことを知ることが学問 包摂と排除の論理学/ギリシアの自然概念と近代の自然概念 *1本質と偶有性 本質・質と計量・量の追求 2異質性の併存と同質性の追求、2つの元素論 運動概念の違い 古代は運動の質的、目的の違いに着目 古代と近代は学問上の関心の違いあり 3関係の取り扱い 古代は主題・実体・主語が中心、近代は関係、変化を捉える 4古代は目的論的な論理学 5『種の起源』は変化の宣言 古代の数学は現実的幾何学、自然数のみ デカルト的代数幾何学が超えた 6ギリシアの自然は質的な有限で閉じられた全体 近代の自然は無限、相互変化/アリストテレス論理学とギリシア文化 *古代の論理学を現代に生かそうとする努力は矛盾/現代論理学の混乱の一例 *三段論法/常識と科学の交流 *アリストテレス論理学は当時の常識と科学を包含、定式化された常識文化 実体や種、対比や序列など現代も生き続ける概念もある 現代は常識と科学の分裂の時代 ※19世紀革命、科学の非日常化=非常識化=不可視化、現象学の生活世界と理念の衣やハイデガーなどの形而上学的韜晦
II 探究の構造と判断の構成
第六章 探究のパターン
これまでの要約/探究と論理形式の発生 *論理学以外では自動フィードバックが働く/探究を探究することの利点/思考の規範の問題 *心理か論理かという問題ではない/探究の定義 *問題解決、開いた状況を閉じて完成させること
/探究の先行条件―不確定な状況 *状況は心理的主観的ではない、現実的実際的客観的/問題の設定/問題解決の決定 *観察と予想・予測 暗示、アイディア カントの認識定式の洞察(内容と形式の統一)は歪んでいる/推論 *意味の意味を検討/事実と意味の操作的性格 *観察、その場の事実、観念・仮説、テスト・実験、検証、証明 事実を命題の形で、シンボルで定式化 ※その場を分節固定化し、全体的な純粋経験としない/常識と科学的探究 *テーマ、目的の違い 常識はある個人や集団の利害と関心 科学は利害抜きの知的関心 新しい言語、シンボルが生まれる/要約 *仮説と実験 現実は時間の中にある/用語について
第七章 判断の構成
判断と命題 *裁判での判決文/最終判断は個別判断である *状況の中の一事案、theではなくa/判断の主語 *旧来の主述には探究の契機がない/主語と実体 *古代との実体概念の違い 不変の対象から変化の相互関係へ/判断の述語 *述語は仮説、理論 経験論は便宜主義に陥った/コプラ */命題 /述語形式の理論
第八章 直接的な知識―理解と推理
直接的な知識に関する理論 *合理論と経験論の直接知批判(現実・媒介なしの内観、感覚[無時間・瞬間]から観念[時間・連続性]への飛躍)/その批判的検討 *探究の連続性、仮説性/仮説の真偽 *無前提の出発点=直接知/知識と理解と了解 *ことばのあいまいさ 常識的な了解をそのまま根拠づけた知識とはできない/ミルの経験主義的理論 *感覚などの常識的な物言いをそのまま厳密な議論に持ち込めない/ロックの場合 *人間には物的対象の認識は不可能、との自覚/原子的実在論 *原子命題と原子事実/知覚について *心理学的な知覚説は特殊事例を一般化して論理学に移入し、原子命題の基礎とした/直接的な知識の諸例とその検討 *面接による知識と記述による知識/理解または会得/論理形式についての命題 *自明はすでに社会的意味である 仮説/補足 *知識は媒介的性格を持つ 推理と論証
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(デューイ)
科学的発見の論理
パースそのもの 私はポパー哲学での既視感
パースの連続主義とは私の過程主義、ポパーの問題主義
ことばの使い方についてはウィトゲンシュタイン
健全な常識哲学、現実的で有用な哲学を求めて
- 作者: チャールズ・サンダース・パース,ウィリアム・ジェイムズ,ジョン・デューイ,植木豊
- 出版社/メーカー: 作品社
- 発売日: 2014/09/30
- メディア: 単行本
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