ノート:橘玲「上級国民/下級国民」

 

上級国民/下級国民 (小学館新書)
上級国民/下級国民 (小学館新書)
 

 (目次)

まえがき

 

PART1「下級国民」の誕生

1 平成で起きたこと

 日本のサラリーマンは世界でいちばん会社を憎んでいる/正社員の制合は変わらなかった?/女性の非正規が増えた理由/「雇用破壊」はどこで起きたのか?/各戸訪問でひきこもりを調査した町/ひきこもりは100万人ではなく500万人?/急落したGDP成長率/生産性の高い工場も閉鎖されている?/報酬の高い産業から低い座楽への移動/ITへの投資が少ないのではなく、投資の効果がない/経済低迷の理由は「日本市場に魅力がない」から

 

2 令和で起きること:

 団塊の世代団塊ジュニアに起きたこと/中高年ホワイトカラーの失業はわずか5万人/パラサイト・シングルの”発見"/不都合なことはすべて若者の責任/正社員と非正規の「差別」のない国/世界一高い低賃金をさらに引き上げるフランス/「北」と「南」に分断されたイタリア/守られた"おっさん"の既得権/「働き方改革」が進みはじめた理由/令和の最初の10年で起きること/現役世代1.5人で高齢者1人を支える社会/確実に来る未来

 *団塊世代の罪(皮肉にもしっぺ返しはジュニア世代に) 安全地帯から(高みの見物)の「正論」「絶対用語」(戦争、平和、民主主義、安全…):暴論、韜晦(目的は保身、利己) インフレ・成長時代=値上げ、とにかく値上げ反対→コストカット・昇給なし・デフレ・100均 2018-19フランス・黄色いベストデモ、最低賃金引上げ・若年雇用に悪影響

 *戦後日本の支配者:「正社員共同体」企業・マスコミ(最高給取り)・官庁・労働組合、日本人・男性・中高年・有名大学卒・正社員=「おっさん」 マイノリティ(「弱者」):外国人・女性・若者・非大卒・非正規社員 重層的な差別社会、身分制社会、既得権益固守、「弱者」庇護のお為ごかし、団塊世代(支配者)批判はタブー

 *2020、1945-55生まれが75-65歳に、団塊世代の現役引退 戦後(昭和後期+平成、75年間)の終了=令和へ 労働世代には清算の時代、働き方改革… 年金世代:年金を通じた日本支配は続く、年金プラス2000万円騒動、死滅するまで20年間 ※劇場に詰めかけるおばちゃんの正体も団塊世代 2040までは対症療法を繰り返す持久戦 国民が貧しくなっていく時代、最悪は国家破産し下級国民が切り捨てられ難民化

 

PART2「モテ」と「非モテ」の分断

3 日本のアンダークラス

 現代日本社会の8つのグループ/上流/下流は「学歴格差」/若い大卒男性の幸福度は低い/壮年大卒男性は日本社会の中核/「ほとんどボジティブなもののない」ひとたち/大阪フリーター調査/若者が「遊びの世界」に入る理由/専業主婦願望と早婚傾向/未婚のまま出産母子家庭に/教育の本質は「格差拡大装置」

 *中心断層は大卒/非大卒 マスコミ(上級国民)による下級国民バッシングは差別(禁止) ポジティブ感情が最悪グループは「男性・壮年・非大卒」(青葉真司容疑者) 教育とは格差拡大装置、階層選別装置

 

4 「モテ」と「非モテ」の進化論

 女は男より幸福度が高い/男は女より「不安定性」が大きい/男と女では「モテ」の仕組みがちがう/若い女性の「エロス資本」/「恋バナ」はなんのためか?/女性にとっての「最大の脅威」/「持てる」ことと「モテる」こと/女性は「階層」を気にしない?/なぜ女子学生の方が留学するのか?/現代社会は「事実上の一夫多妻」/「モテ」と「非モテ」の分裂/メンズリブミソジニー/年収の低い男は結婚できない/「結婚がつらい」男たち/「非モテ」のテロリズム/「大きく黒い犬」という問題/神と英雄

 *ミソジニ―(女性蔑視) 非モテ男の敵は女(フェミニズム)+モテ男 米インセルのテロ、下層に追いやられたマジョリティ=プア・ホワイト マジョリティの分断 LGBTは見えやすいマジョリティ、マジョリティ下層の非モテは黙殺されてきた ※性行動:動物と人間、自然と文化(意味、社会、意識) 社会テロの時代:非モテ、非大卒、男性(中年含む。2001附属池田小事件、2008秋葉原通り魔事件、2016相模原障害者施設殺傷事件、2019川崎市登戸通り魔事件、2019京都アニメーション放火事件

 

PART3 世界を揺るがす「上級/下級」の分断

5 リベラル化する世界

 「人口爆発」と「ゆたかさの爆発」/私の人生は私が自由に選択する/ヨーロッパにおけるイスラーム問題の本質/リベラルな社会の能力主義/リベラルの理想は究極の自己責任/「政治的に正しい態度(PC)」が必要な理由/「リスク」を自分で引き受ける/自己分析と自己コントロール/ポイ捨てされる人間

 *相転移:農業革命、産業革命 近代は前代とは別次元の世界 前期近代:18-20世紀前半、帝国・植民地主義 後期近代:20世紀後半以降、領土から経済へ、福祉国家、人類初の豊かな時代、新価値観「私の人生は私が自由に選択する」、自由に生きる、自由な社会、リベラルな社会(反戦公民権、フォーク・ロック、ピッピー、五月革命安保闘争フェミニズム) ※最後の近代哲学者サルトル、1960年代の構造主義は後期開始の宣言 リベラル化、自由化、非干渉 ※世界の共通化、共時化、シンクロ化 自由=自己選択・決定、自己実現できる社会 ヨーロッパにおけるイスラムは個人の自由を阻む悪 リベラル社会の負:自己責任、共同体解体 各個人の能力主義メリトクラシー) PC(政治的正しさ):もはや「事実」は語れない・語るべきものではない、差別バッシング回避コード、孤独 リスク社会(自由選択・自己責任)、再帰的近代(自己物語)、液状化(最悪は沈殿・廃棄物化) 後期近代の光と影、選別化プロセス

 

6 「リバタニア」と「ドメスティックス」

 知識社会化・リベラル化・グローバル化/ヒッピーカルチャーの勝利/「絶望死」する白人たち/「とてつもないこと」が起きる世界/「中流崩壊」を予言した経済学者/クリエイティブクラスの台頭/勝利と同時に敗北/「新上流階級」が集まる都市/「新下流階級」がふきだまる町/先進国では同じことが起きている/アメリカ社会の分裂/「黒人保守派」とは何者か?/裕福なサイバーリバタリアン/ヤンキーとエリート/「ヤフコメ民」はなにに怒っているのか?/エニウェア族とサムウェア族/リバタニアとドメスティックス

 *知識社会化(理解を超えたテクノロジー進化)、リベラル化(自由選択・実現)、グローバル化 反動としての「右傾化」(反知性主義、保守化、排外主義) ジョブズ、ヒッピー=ボヘミアン、ボボズ(ブルジョアボヘミアン)、フラワーチルドレン 止めどなくリベラル化の進展する社会が右傾化として見える、反動だけが「ニュース」となる AIや国際分業による米ブルーワーカー失業 米プア・ホワイト(高卒以下)の絶望死(ドラッグ、アルコール、自殺)短命化 現象は常にフラクタル複雑系)、べき分布ロングテール)【例】富 グローバル化により世界全体は平等化、代償として先進国中間層が崩壊・分裂 職業の変化・盛衰、格差 クリエイティブクラス、新上流階級、ワシントンなどのコミュニティ、ボボズ コミュニティの盛衰 新下流階級、「円満家庭」像の崩壊(妊娠、離婚、パート)、米・日 アメリカ社会の対立構図、白人分裂・黒人 リバタリアンとしてのヤンキーとエリート 日本ヤフコメ民、マイノリティ批判、マジョリティ擁護、マジョリティとしての不満 世界的な分断、「知能」による、Anywhere族とsomewhere族 グローバルなリバタニア、リベラル仮想共同体、ボボズたちの現実世界からの撤退 国・人種・民族・宗教などによるドメスティックス

 

エビローグ 知識社会の終わり

 ポピュリズムは「知識社会への抵抗運助」/サイバーリバタリアン「右派」と「左派」/ベーシックインカムはなぜ破綻するのか?/お金は分配できても性愛は分配できない/「技術」と「魔術」が区別できない世界

 *最短で唯一のアイデンティティ、白人であること(白人至上主義)、男性であること(男性優越主義) 宗教や国籍は転換可能なので、排除・純化 敵・味方、善悪二元論 後期近代の世界分断運動、必然の歯車 産業革命後は知識社会、格差も知能格差から ポピュリズムは下級国民による知識社会への抵抗運動 左派ポピュリズムマルチチュードに希望はない(フランスの黄色いベストデモ) サイバーリバタリアン右派:おせっかいな自由主義、漸進主義 左派:ユニバーサル・ベーシックインカム、人種差別で破綻、非モテ解消できず 2045シンギュラリティで技術は魔術となり知識社会は終焉?

 

あとがき

 *知識専門職か評判資本家か それら周縁も有望 ただし、民主政治は有権者の総意=ポピュリズムとなる(トランプ化)

 

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予言書 日本人の自滅

 

機能組織を共同体化し組織防衛する、自己保身のため

 メンバー資格(「正社員」)あり

旧日本軍、官庁、学校、会社 機能組織だから定年がある、それまで問題を先送りする

 環境変化に対応できない、全体として失敗する 「敗戦」

美談は滅私奉公 学校学生時代の「仲間」「チーム」は助走か?

 

ものの見方のポイント

 どう分けるか、分類するか、グルーピングするかだ

 【例】男対女ではなく、非モテ男対女(フェミニズム)+モテ男

 

素晴らしいパースペクティブ

 

※だらしのない生活・人間の増加 社会全体としての豊かさ

 生活保護をはじめ社会福祉制度その他がなんとか生存は支える、貧しく・幸福ではないが