写真で辿る折口信夫の古代 (角川ソフィア文庫)

 

  楽しい本である。折口信夫と言えば、何を思い出すだろう。口訳万葉集、祭りの依代(よりしろ)となる髯籠(ひげこ)、神に祈る沖縄の祝女(のろ)、三信遠(三河・南信濃遠州)での徹夜の芸能祭り、二上山に甦る『死者の書』…。

 神霊がいる古代を透視する人。何より当人が「宇宙人」や「未来人」と呼ばれ、貴種流離譚を地で行く人だ。ヘンなものも視てしまうのも道理である。

 という意味で、この本は折口がどんなものを視てきたかがわかる本だ。ご覧じあれ。