「腹を空かせた子どもたち」をどうする?

飢える子どもたち


何と言おうか、暇な、あるいは子どもっぽい会社である。人事情報に関する憶測がうわさとなり、デマとして成長し、一人歩きしている。
T事務所限定で開示された情報が組織原則を破って、O事務所の知人に伝達された。Kから聞いたSは自分に関することだけを明言し、「あとは言えないよ」とまわりに公言。
ここから、憶測の自己増幅が始まる。自分はどうなるのだろう? ○○も知っているらしい。知らないのは自分だけだ。いったいどうなっているのだ! 昼食時間等にこんな会話がまことしやかに行き交う。「会社」が悪者だ。「会社」が一部の人間にだけ情報をもらし、自分のことを自分以外の人間が先に知っている。情報開示の不公平…。
その「会社」って何だ?


3つの問題がある。1つは、O事務所に先行してT事務所だけで情報開示したこと(これ自体は不正ではないが、結果責任あり)。次に個人的つながりで、SがMに知らせたこと。守秘義務原則に違反する。3つ目に、個人的に知りえたMが情報を入手していると公言したこと。たとえ内容を明かさなくとも、結果的に情報開示の公平性が破れていると宣言したことになる。情報の不正入手だけでも「共犯」であり、その公言も守秘義務違反である。
公私混同であり、組織人としての判断、行動ができていない。それだけのことだ。それをもっぱら「会社」のせいにする。まこと残念なことである。


だが…。そういうメンバーたちも「会社」である。彼ら彼女らを「育てて」いるのも会社である。ものごとは裏面からも考えることが必要だ。「犯人」を処罰すれば、その「犯罪」そのものが消滅するわけではないのだ。
メンバーの過誤は、会社がそれを許していたり、それをうながす温床を作っている場合がほとんであろう。その元を絶つことが肝心だ。
不確かな情報(憶測、うわさ、デマ)の一人歩きは、正しい情報の開示不足がむしろ原因ではないのか。会社の無策(ガバナンスの不在)がそれらを一人歩きさせてしまっているのだ。それを予防するには、会社の方が一歩前に出て、正しいことを常に説明しておく必要、責任があると考えた方がよいのではないか。
メンバーは「腹を空かせた子どもたち」のようだ。空腹がつのると、食べてはいけないものでも拾い食いをしてしまう。情報に飢えているのだ。そうならないよう、きちんと3度の食事、つまり公式情報を会社から適切に与えるべきなのだ。