知恵と慈悲「ブッダ」―仏教の思想〈1〉 (角川文庫ソフィア)

仏教の思想 1  知恵と慈悲<ブッダ> (角川文庫ソフィア)

仏教の思想 1 知恵と慈悲<ブッダ> (角川文庫ソフィア)

角川文庫って昔からスゴイ。日本古典だけじゃなく、通には垂涎の西欧もの、さらには吉本隆明の「共同幻想論」「言語にとって美とは何か」なんてのをじゃんじゃん出していたんだぜ。
さて、このシリーズ、なんと30年前のまま、全く手直し無しで出ている。元がいいから。実際、いま読んでも新鮮だ。
この巻はブッダ篇。増谷文雄と梅原猛の両氏が担当している。二人とも、人間・釈迦の思想の真髄を平易に説くとともに、キリストやソクラテスとの対比を通じて、仏教の世界的な復権を試みている。
興味深かったのは、「慈悲」を友情とする増谷氏の解釈。また「業」を人類の歴史所産とする梅原氏の解釈。環境問題はまさにそうだ。