ノート:『エピクロス―教説と手紙』

エピクロス―教説と手紙 (岩波文庫 青 606-1)

エピクロス―教説と手紙 (岩波文庫 青 606-1)

 

 

訳:出隆/岩崎允胤

 

(目次)

 

ヘロドトス宛の手紙 *小摘要

 序

 1哲学研究の方法上の規則 *規準論

  1語の最初の意味 *先取観念 2判定の基準 *感覚は過つことがない

 2全宇宙とその構成要素

  1全宇宙の不生成不消滅なこと *パルメニデス原則

  2物体と場所 *物体(原子)と空虚(空間)

  3全宇宙の限りないこと *数も広がりにおいても無限宇宙

  4原子の形状の相違 *人間理解を超えるほど多くある

  5原子の運動 *原子の偏倚(クリナメン)降り乱れる原子の雨(※アルチュセール)、気体・液体・固体

  6世界の数の限りないこと *無限宇宙、類似あるいは非類似世界 

 3感覚

  1視覚 *映像、その微細さと速さ、その生成、視覚の成立、その真偽 *視覚の像は固体や事物からの思想の速さの流出物(思想は原子の最速運動)

  2聴覚 *事物からの流体運動

  3嗅覚 *音と同様

 4原子

  1特有性―形状、重さ、大きさ *原子は性質を持たず不消滅で転化しない さまざまな大きさ

  2原子の部分 *無限分割はできない 感覚における最小限・

識閾 原子における最小限・極限

  3原子の運動 *空虚中では重さにかかわらず、衝突するまで有限等速運動 合成体内+えの原子運動 合成体の運動

 5霊魂

  1その組成 *原子から成る微細な物体 風、熱に似る

  2感覚の原因、霊魂と肉体の関係 *感覚は霊魂と肉体の結合によって生み出された偶発性

  3霊魂は非物体的なものではない *空虚など非物体は働きかけも働きを受けることもできない

 6本属性と偶発性

  1本属性 *形状、色、大きさ、重さなど

  2偶発性 *一時的な状態 3時間 *特別視しないこと 偶発性

 7もろもろの世界の生成と消滅、形状、そこでの存在物 *無限宇宙も同原理で同様な世界が広がっている

 8文明の進歩と言語の起源 *自然から文明へ

 9天界・気象界の事象

  1神的な原因の除去 *至福で不死の天体運動に神は不要

  2星の本性についての認識、および幾通りもの原因によって起こる事象についての認識 *天体認識による至福、平静な心境(アタラクシア)、幾通りもの説明の仕方を受け入れること

 10霊魂の動揺の原因とその除去 *天文現象に意志を持ち込んだり死後にあらぬ不安を抱いたりせず、真理を探究しアタラクシアへ

 結び *

 

ピュトクレス宛の手紙 *偽書、ただし真正の内容を伝える

 序

 1自然研究の目的と方法 *物体のそれと違い、唯一の説明をしない 多様な原因があり、多様な説明に留める 自然研究の目的はただアタラクシアにある ※世界についての唯物論的説明、ただし確証できないことを決めつけない、あり得る可能性を誠実に羅列するだけ 神秘的な説明は無用

 2世界 *世界は宇宙の一部分、他に多くの世界がありうる

 3太陽、月、その他の星

  1生成、構造、大きさ *天体はこの世界の中で物質的に形成された 2昇りと沈み 3運動 4回帰 5月 満ち欠け、光、表面 6日食と月食 7周期 8夜と昼の長さ 9天候の前兆

 4気象

  1雲 2雨 3雷鳴 4稲妻 5稲妻は雷鳴より早く進む 6雷 7暴風 8地震 9火山? 10雹 11雪 12露と霜 13氷 14虹 15月の暈

 5天界の事象―再説

  1彗星 2恒星 3遊星と規則的な星 4星の速さの違い 5流星 6動物の示す天候の前兆

 結び

 

メノイケウス宛の手紙

 序、哲学の勧め *老いも若きも愛知=哲学が必要、霊魂の健康を、幸福を得るため 

 1美しく生きるための基本原理

  1神々の本性 *神々は不死で至福で存在するが、決して人間的ではない 2死 *死は生ではない、故に生者にも死者にも経験できず問う意味がない 生をただ快く生きるのみである 長寿も自死も意味がない ※食事 未来は思い通りではないが、期待してはいけないということでもないのだ 健全なプラグマティズム、禅

 2倫理説

  1行為の動機および目的としての快 *欲望についての省察 身体の健康と心境の平静が生の目的 苦しみのない快が生の動機であり目的 快は第一の生まれながらの善 2快と苦しみ、選択と忌避 *快苦を短絡的に考えてはならない、選択と忌避が必要 3自己充足 *足るを知ること 不快や苦しみが取り除かれればそれが快 4真の快 *自堕落の快楽主義ではない 素面の思考 5思慮 *思慮こそ尊い 運を認めつつ運命論に陥らぬこと 人は幸福に生きることができる

 結び *もはや神の如く(※「なぜ神か」と解説者)

 

主要教説

 *思慮と快 神話と自然研究 正義の相対性

 

断片

(その一)

 *生の一回性と永遠の議論 相対的な小悪も悪、善ではない SNSの俗物としての賞賛

(その二) 

 *感動、喜び、美などを受け入れる現実主義 善の基本は胃袋の快 不正は快ではなく臆見に基づく 大きな悪を避ける 大きな快のために苦しみに耐えることは良い、より苦しまないために快を控えることは有益 肉体は大きな悪ではない、すべては環境のせいではない

 

エピクロスの生涯と教説

 1エピクロスの生涯

 2エピクロスの教説 *静的な快:心境の平静と肉体の無苦 動的な快:喜びや満悦 霊魂の快苦の方が肉体のそれより大

 

解説 ※秀逸

文献

索引

 

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心の平安と唯物論(無「神・ゴッド」論)

 

自然と人間文化 イオニア学派プラトンイデア 相対主義と絶対主義

 プラグマティズム

合理・理屈・納得を求める人間性

 人格神 合理性だけでなく、善悪など価値を含めている

 アインシュタインの神 法則の神

 

 

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