ノート:「現代のエスプリ 構造主義」1972

現代のエスプリ No. 58 構造主義

現代のエスプリ No. 58 構造主義

 

(目次)

 

田島節夫「概説・構造主義」1972

一 はじめに

 *62『野性の思考』 66『言葉と物』 反人間主義=反ヨーロッパ中心主義 日本の構造主義ブーム 

二 言語活動における二種類の関係

 *ソシュールのラングとパロール、社会と個人 コード符号endodeとメッセージ通報decode 言語と制度 ルール明示的な人工言語と暗黙的な自然言語 連合関係と統合関係 音韻論 能記シニフィアンと所記シニフィエ 音素 形態素 統辞論・構文論 言語と無意識 レヴィ=ストロース構造人類学 ラカン精神分析学 ヤコブソン 選択と結合 暗喩と換喩

三 神話の構造

 *レヴィ=ストロース 親族関係、神話 コードとメッセージ 社会構造と神話の関係 神話素 通時的・共時的構造 テーバイ神話群(カドモス~アンティゴネ)の分析(『構造人類学』第11章) 神話的思考、器用仕事(ブリコラージュ) 神話と科学 歴史の問題(構造主義の限界?) メタ言語、内包(私的言語)、神話学 課題:「構造」とは何か、チョムスキー生成文法 

四 言語学から人文諸科学へ

 *ピアジェによる構造主義の定義

五 親族構造と神話学

 *レヴィ=ストロース 意味論的探求

六 構造主義生成文法

 *チョムスキーレヴィ=ストロース 普遍文法?

 

構造主義の基礎理論

親族の基本構造

親族の基本構造

 

 クロード・レヴィ=ストロース「家族」原ひろ子訳 1956

[家族の絆] *結婚、家族の形態、男女分業、人工的 ※西欧社会の結婚や家族の定義は普遍的ではない 夫婦関係は性に関する権利を示す 近親相姦の禁忌ルール 自然的ではなく人工的文化的 結婚の促進、男女分業と家族内禁忌、分業=禁忌 ※現代の「不婚」はこれらの破棄 人類の社会は婚姻で家族複合、新家族展開、発展、故に近親婚の禁止がカギ(動物界に禁忌なし) 自然から文化へ、動物から人類へ、人類の選択 ※吉本隆明 西欧社会と未開社会 規模と流動性の違い、禁忌ルールの厳格性 カテゴリーを示す親族名称 交叉いとこと平行いとこ 社会が家族を活用している、緊張と対立の動的な過程 社会は文化に、家族は自然に属する 未開・現代社会は小家族、文明化していった「中間」社会は大家族(繁殖?)志向か

  

構造人類学

構造人類学

 

クロード・レヴィ=ストロース「人類学における不変の問題」石毛直道・稲浦嘉頴訳 1960

 *インディアンの兄妹相姦とエディプスの母子相姦 スフィンクス、謎(答えてはいけない問い)※封印? 近親相姦と謎解き 禁欲と近親相姦、問わぬ者と謎を解く者 聖杯伝説とエディプス神話 自然力の解放と腐敗、性的不能、繁殖力の枯渇 

 *「不変」の問題、人間の本性における普遍性 社会人類学者の探究 民族学的な方法、メルロ=ポンティ「哲学」 観察者の主観性の危険

  

神話作用

神話作用

 

 ロラン・バルト「神話作用―意味論的体系としての神話」篠沢秀夫訳 1957

 ※話の形式化、話者の不可視化、ヤコブソン構造言語学 文学批評 構造主義

 

クロード・レヴィ=ストロース「魔法使とその魔法」田島節夫訳 1958

[魔法の効果と問題/失踪した魔法使の話/魔女裁判を切り抜けた青年/大魔法使となった合理主義者/魔法の諸条件と精神分析/魔法の本性]

 ※シャーマン「治療」の構造分析 シャーマン−患者−集団 精神分析

 

知の考古学 (河出文庫)

知の考古学 (河出文庫)

 

 ミシェル・フーコー「知の考古学」中村雄二郎訳 1966

[言説の編制 考古学的記述]

 

構造主義の論争

言葉と物―人文科学の考古学

言葉と物―人文科学の考古学

 

ミシェル・フーコー/マドレーヌ・シャプサル

ミシェル・フーコーとの対話―『言葉と物』について」佐々木明訳 1966

 ※アンチ・ヒューマニズム近代主義批判

 

リュシアン・セバーク「イデオロギーと科学的思考」田村俶訳 1964

 *ラングとパロール 通時態と共時態、歴史と構造 シニフィアンシニフィエ、人間の声と言語(意味)、自然と文化 ※記号化、言語化

 

マルクスのために (平凡社ライブラリー)

マルクスのために (平凡社ライブラリー)

 

 ルイ・アルチュセール「矛盾と重層的決定―探求のためのノート」河野健二・田村俶 1965

 *レーニン ロシア革命の発生と成功:重層性 ヘーゲル弁証法の内部矛盾性 外部矛盾の重要性

 

モーリス・ゴドリエ「『資本論』における体系、構造、矛盾」花崎皋平訳 1966

[資本主義の可視的機能から隠された内的「構造」へ/『資本論』における矛盾の2つの概念/マルクス弁証法ヘーゲル弁証法との根本的対立]

 *不可視の構造探究:マルクスレヴィ=ストロース 資本家と労働者との矛盾、恐慌・生産諸力と生産諸関係との矛盾 出現する歴史(※構造の歴史化) 構造・環境・システム:内部での相互関係と内外との相互関係 真の矛盾・発展(歴史)は後者にしかない 還元可能/還元不可能 「外部」とは現実そのもの ヘーゲル「対立物の同一性」神話の超克 サイバネティックス 恐竜絶滅

 ※生産関係:社会分業体制(タテ労資、ヨコ資本・生産手段・労働力の移動や変換含む)、階級・階層構造、上部イデオロギー(観念)、政治国家関係

  生産力:農業、工業、全産業(食糧、物資、文化)、自然環境、物理的世界

 ※シニフィアンシニフィエ 可視的自然・物理的現実/不可視の人間的意味・社会・文化現象 唯物論/観念論 唯名論実念論イデア

 

リュシアン・セーヴ「構造論的方法と弁証法的方法」山崎カヲル訳 1967

 *ゴドリエ批判 [弁証法の構造化論の試み/構造の不変性と飛躍的発展/階級闘争の動因的役割について/弁証法と制限/構造論的方法と弁証法的方法との本質的差異]

 *ゴドリエ要約:2つの矛盾、生産関係(内在)矛盾が生産関係=生産力(外在)矛盾を出現させる、内在矛盾解決のために外在矛盾が爆発する、つまり構造は内在的だが、発展(歴史)は外在的 欠落:階級闘争(人間の主体性:近代主義ヒューマニズム) 革命を待望主義に、無限延期する ※最後はぶち壊し、結局ドクトリンに回帰する過ち

 

ジャンポール・サルトル/ベルナール・パンゴー「サルトルとの対話」平井啓之訳 

[歴史の拒否/構造主義について/レヴィ=ストロースについて/アルチュセールマルクス主義について]



構造分析

クロード・レヴィ=ストロース「ウィネバゴ族の四つの神話」井上兼行訳 

 *社会道徳の神話:「英雄」という生き方

 

エドマンド・R・リーチ「エデンの園レヴィ=ストロース青木保訳 1961

 *聖書創世記の神話構造分析 静的単一的楽園から動的複合的世界へ 男・蛇・女 近親相姦から婚姻へ カインからアベルへ びっこのオイディプス

 

吉田敦彦「ローマ神話と印欧神話」1970

 *デュメジル ローマ神話リグ・ヴェーダ分析

 

大林太良「古代日本における分類の論理―天津神国津神と天津罪・国津罪」1971

 一 はじめに

 二 天つ神・国つ神についての諸説

 三 天つ神・国つ神と神々の機能 *政治的な国譲り以外、天つ神と国つ神は対立しない(天岩戸・海幸山幸神話も天孫同士) 婚姻はむしろ二系統で 天つ神は支配者・軍事・祭祀機能、国つ神は被支配者・生産者・土地神・海神機能

 四 神々の分類体系 *神功記などに「国つ神」ではない雑神、祖神・人格神以外の自然神(人間対自然) 荒ぶる山・河・海の神、しばしば動物の姿、ヤマトタケルや神武帝らを圧倒する力 ワタツミ神は分類混乱か

 五 天つ罪と国つ罪 *天つ罪は戦士・支配者の生産活動(農耕や機織り)に対する罪(文化内罪) 国つ罪は近親相姦や獣姦・食人、溺死や焼死(他界でも不幸となる悪い死に方、後世の産女も)等、人間文化を逸脱する罪(自然に戻る文化外罪) 天−国−自然の位階秩序、罪は下段に堕ちること

 六 宇宙の均衡破壊 *殺人は俗なる犯罪、天つ罪と国つ罪は聖なる秩序への侵犯、宇宙の均衡破壊 故に日食等の天変地異も発生 追放、大祓

 

佐々木明ボードレールの「猫」」1968

 [構造分析は何を教えるか]*特徴:内在的研究、要素間関係と統一体、共時的隠喩的と通時的換喩的 伝記からの作品論や、作品から作者を読み取る解釈の批評、に対する純粋作品論 先例にロシア・フォルマリストによるフォークロア研究、だが作家論には不向きか テキスト論による非人称的な「印象」と、通常読書での共感との乖離 実存、生きた意味の脱落?※無時間的 リクールの批判:構造分析はある「無意味」を開示する 近代的歴史観人間主義への反省、反動

  

物語の構造分析

物語の構造分析

 

 ロラン・バルト「物語の構造分析序説」平岡篤頼訳 1966

 一 物語のラング[意味の諸水準]*文には言語学的にいくつもの水準がある 音素−語−文 ヒエラルキー的関係、相互に微分(極大化)され積分(極小化)される関係 物語の経と緯、水平・垂直※ポー「盗まれた手紙」

 二 機能体[構成単位の決定]*物語の構成単位、セグメント すべてのディテールは意味(無意味を含めて)を持つ、芸術には雑音がない 機能体は内容の構成単位で、表現や形式ではない 機能体は文単位より高次(段落や章節など)でも低次(語句など)でもあり得る

 三 行動[作中人物の構造的地位]*アリストテレス詩学:筋>人物 構造的分析では人格ではなく動作主 『危険な関係』での関係:恋愛・コミュニケーション・援助 物語の人物の行為:コミュニケーション・欲求(探索)・試練(闘争)

 [主体の問題]*物語の主体=主人公とは 遊戯と言語 人称、話法

 四 説話行為[説話的コミュニケーション]*物語の授与者:作者、神・非人称性、複数発信者 作品は閉じていて作品の中には作者はいない 話法の混在、トリック

 [物語の状況]*物語のシチュエーション 読書の「作法」コード化 ※真実らしさ 現実とフィクション 物語と世界の境界

 

□解説□

構造主義の基礎理論

構造主義の論争

構造分析

 

クロード・レヴィ=ストロース

ミシェル・フーコー

リュシアン・セバーク

ルイ・アルチュセール

ロラン・バルト

 

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世界の秘密

 

構造言語学に基づく構造主義

 通時/共時 垂直/水平 歴史/構造 主体/社会

 対称性 タテ/ヨコ

 

ラカン 人間/モノ 個人/社会

 非対称性 自/他 生/産 意味/無意味

  シニフィアンシニフィエ

 

野生の思考

野生の思考

 
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一般言語学【新装版】

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